歯を失ってしまった人たちへ

歯を失ってしまった人たちへ

今回は、「歯を失ってしまった人たちへ」というテーマでお伝えします。

本題に入る前に1つお伝えしたいことがあります。

わたくしども下北沢予防チームは、「予防がもっと多くの日本人に広まってほしい」と願っています。
そう思うきっかけはいくつかありますが、

たとえば、大がかりな治療をしていると、ふと「予防さえきちんと広まっていればこんな大変な思いをしなくてすんだのに」と思うことがあります。大がかりであればあるほど、このような悔しさを感じます。

とくに歯周病は、壊滅的な状態になるまで進行していることがあり、かみ合わせや矯正、インプラントが必要なトータルの治療(包括治療といいます)が必要になります。
そうなると治療が数年単位になってしまい、治療終了しても弱っている歯は無傷の天然歯には勝てないので、どうしても再発しやすく、終了してからのメインテナンスが確実に必要になります。

歯周病はメインテナンス予防が大事

このように治療が終わったら必ずメインテナンス、つまり予防が100%必要なのが歯周病治療です。

あとから結局予防しないといけないのであれば、再感染のしやすさ、痛みやオペなどの苦痛、治療終了までの時間、費用、削ったりして残る歯の量など、どう考えても最初から予防しておいた方が楽なのです。

治療前に健康なうちにはじめる

とはいえ、自分が確実に歯周病(もしくはむし歯)になるという保証はありません。しかし、ならないという保証もありません。 

ご安心ください、通常の検査では「いま歯周病(むし歯)かどうか」という病気の検査しかできませんが、「歯周病・むし歯のなりやすさ」を検査することもできます。

年代別一人あたりの歯の残存数
「お口を予防する意味」より:40代で1本、50代で3本…80代で18本失う

データによると、50代で急に歯を失いはじめます。一般的に歯周病が始まるのが40代で、その後歯周病の進行が加速するとともに歯を失う本数が増えます。
健康であればあるほど歯の予防がうまくいくので、30代までに歯周病予防を開始すれば、死ぬまで1本も歯を失わずにすむことがわかっていただけると思います。以上がわたしたちが予防を広めたい理由になります。

30代のうちにどうか一人でも予防をはじめる人が増えることを願っています。

それでは、本題へ。

歯を失ってしまった人たちへ

歯を失ってしまった方は、きっと後悔されていることでしょう。
失いたくて抜歯になったわけではないはずです。どうにか残して欲しいと願ったことでしょう。それでも抜かないといけなくなったのには理由があるはずです。

目次

歯を失う原因は、いくつかあります

歯を失う原因

最大の原因は、なんといっても歯周病です。

しかし、歯周病の治療は近年大きく進化し、おおくの歯を残すことができるようになっています。

腫れて炎症がひどく、出血して歯がグラグラしてきていても、歯周病治療をきちんとおこなえば炎症を抑えて、進行をくい止め、歯周組織(=歯槽骨(しそうこつ)、歯根膜(しこんまく)、セメント質、歯肉で構成される)が再生する可能性すらあります。

第二位のむし歯が原因の場合や第三位の破折(歯が割れてしまうこと)の場合も、おおくの場合はむし歯を削り取り、折れた部分を取り除き、詰め物や被せものをすればむし歯の進行が止まります。

ほとんどの場合において歯の保存が可能ということです。

ではなぜ抜歯になるのか

ではなぜ抜歯になるのか

歯周病の場合

歯を残したくても、どうしても抜歯が必要になる場合があります。

進行しきっていて明らかに抜けてしまっている

破壊が歯の長さを超えてしまっていて、今日か明日か、いつ抜けてもおかしくないという状態です。なかにはグラグラしている歯が自然に抜けてしまった人もいらっしゃいます。

確実に残せる歯を巻きこむ可能性が高い

歯周病は、その名のとおり歯の周りの病気(歯周組織を破壊する病気)のことです。つまり歯槽骨(歯をささせえている顎の骨)も破壊されて溶けます。ひどい破壊が進行しすぎて、すぐ隣の歯の健康な歯槽骨まで溶けてしまう手前の状態まで進行しているということです。

この場合タイミングを見失うと、1本の抜歯ではすまなくなり、複数の歯をいっきに失うことになりかねません。

炎症が消えない

治療しても歯周病の再発を繰り返してうまくおさまらず、炎症が消えないため明らかにこのままでは進行してしまうという場合です。
ご自身でプラークコントロール(プラーク=ばい菌のかたまりを減らしてコントロールすること)が不可能な場合も炎症が消えませんので、やむをえず抜歯の対象となることがあります。

抜歯した後が大変になる

どの理由でも、歯を失った後にインプラントやブリッジ、歯の移植を考えている場合、破壊しきって歯槽骨が全くない状態ではうまくいきません。インプラントや歯の移植はできず、ブリッジの清掃が非常にしづらく長持ちしない可能性があります。

なくなった骨の回復のため、おおがかりな歯槽骨の再建手術が複数回必要になる場合もあり、非常に大変な思いをすることになります。

このように、歯周病の場合は、悪くなった歯1本だけみるということはほとんどなく、他の歯をふくめて口腔内全体のバランスを考え、トータルで歯を残せるかどうか決定する必要があります。

むし歯・破折の場合

むし歯の再発によるたび重なる治療で、歯の神経を失ってしまっている場合がほとんどです。神経がないので、むし歯が深く進行しても歯が折れていても、痛みを感じなくなり、痛みが出たときには残っている歯の状態が悪くてとても残せない状態になっているのです。

つまり神経をとるときは、その歯の最後の治療といっても過言ではありません。神経がない歯がすでにあるのであれば、その歯に次はないと覚悟しておく必要があります。

いずれにせよ抜歯をするさいは、くわしい説明を受け、十分に納得したうえで抜いてもらってください。

治療中断のリスク

治療中断による抜歯

歯科治療は進行の程度によっては、どうしても治療回数が増えてしまいます。そのため、仕事や学校などで毎日忙しくて、「噛めるようになった」「痛みが消えた」「忙しい」といった自己判断で通院をやめてしまう人がいます。

しかし、個人の判断で通院をやめてしまうのは、治療前よりもむしろ悪化するリスクが高く、まったくメリットはありません。

最も危険な根管治療の途中

根の治療の途中であれば、1〜2週間毎の治療のたびに仮歯や仮のふたをとり外せるようにつけていますから、いずれ口の中のばい菌が直接入りたい放題になります。

歯の外部だけでなく、内部からもいっきにむし歯が進行して数ヶ月で歯を失う危険性があります。残念なことに、わたしたちは抜歯にいたったケースに何度も遭遇しています。

仮歯を入れたらひと安心?

仮歯を入れて痛みがなくなり、物を噛めるようになるため通院をやめてしまう方がいらっしゃいます。しかし、あくまでも「仮の歯」ですので、ずっと使えるようにはできていません。

治療のたびにとり外し、そのかたちを修正することを目的につくられているので、時間とともにすき間やひび割れからばい菌が入りこんで増殖します。
むし歯や歯周病を再発させるだけでなく、進行スピードがとてつもなく早まる可能性もあります。

またずっと仮歯のままだとすり減って咬み合わせがおかしくなり、まわりの健康な歯にもダメージを与える可能性もあります。

抜けたまま放置している

抜歯をして痛みがないからと、歯がない部分をそのままにしていると

  • となりの歯が空いたスペースにたおれて動く
  • 咬み合う歯(下の歯がないなら上の歯、上の歯なら逆)が飛びだして動く
  • かむのに機能している本数が少なくなり、残っている歯の負担が増える

歯並びやかみ合わせが乱れて悪くなり、残っている歯に過剰な力がかかるようになります。

すると、

  • 残った歯の歯周病が急激に進行
  • かみ合わせが低くなり、前歯が飛びだしてくる(フレアーアウトといいます)
  • さらに残った歯の負担が増えて、次々と歯が抜ける速度が速まる

普通に食事するには20本の歯が必要なので、平均60代で結局入れ歯を入れることになります。
しかし、これで終わりではありません。もはや歯並びもかみ合わせもかなりおかしくなってしまっているため、ここまできたらすべての歯に影響が出てしまい、進行を止めるのはかなり困難でしょう。

失った歯を補う方法

失った歯を補う方法

ブリッジ

失った本数が1〜2本であれば、最も一般的な方法です。

両隣の歯を削って、歯のない部分にはダミーの歯、削った部分には被せもの、これらすべてつなげたものをかぶせます。

両隣の歯を使うのでかむ感覚があり、取り外す不便さもありません。

その反面、両隣に歯がないとできません。つながっているために清掃が難しくなり、支える歯の負担が大きく(歯周病が進行しやすい)、何よりも削ることになるので継ぎ目ができる(むし歯になりやすい)というリスクがあります。

入れ歯

うしなった部分に取り外し式の「義歯」を入れて、噛めるようにします。義手、義足と同じ意味です(厳密にはほぼすべての歯科治療が義歯です)。

ほとんどすべての場合に入れることができ、歯を削ることもほとんどありません。取り外せるので清潔にしやすく、修理も簡単です。

その反面、部分入れ歯の場合はバネ(引っかける部分)が必要で、ブリッジ同様に残った歯に負担をかけ、バネが見えます。固定ではないので、違和感があり、かむ力は落ちます。
総入れ歯の場合は、吸着といってスッポンのように吸い付かせて支えるので、温度を感じにくく、味も感じにくくなります。

イメージは、プラスチック製の靴でしょうか。靴ずれのように痛みが出たり、吸い付かなくなるような変化が起きやすいため、完成後も定期的に調整が必要となります。

インプラント

インプラントという名前は聞いたことがあるのではないでしょうか。

いわゆる人工の歯根を歯槽骨(歯を失った部分の骨)の中に埋め込み、この上にクラウンを取り付ける方法です。チタン製で、失った歯の本数にかかわらず治療が可能で、天然歯に近いかみ心地や見た目になります。

その反面、外科手術が必要となり、全身疾患の有無などによって対応できないケースもあります。歯周病の治療が終わっていない、喫煙者などは、インプラント周囲炎(インプラントはむし歯にはなりませんが歯周病にはなります)に感染するリスクが高く、オススメできません。

これだけきくと怖い感じがするかもしれませんが、そもそも被せものも詰め物も、ブリッジ、入れ歯もすべて人工物です。なくなったところを人工のものに置き換える、もしくは補うという意味では同じです。
しいていうなら大きな違いは、生体内部と生体外部を貫通するというところでしょうか。

医科でも、ペースメーカーやステントなどに代表される人工臓器と呼ばれるものを埋め込むことがよくあると思います。

自家歯牙移植

歯を失った部位に、親知らずなどほかの部位の歯を抜歯して移植します。自分の歯を利用するため、なじみがいいのがメリットです。

その反面、移植するためには生えている歯があることが条件です。過去に抜けてしまった歯などは使えません。複数の歯を失った場合にも行えません。外科手術、根管治療が必要で、最終的にクラウンを装着することがほとんどです。

まとめ

オーラルフレイルの進行と歯科予防医療
歯を失うと、オーラルフレイル(お口の機能の低下)が始まり、最終的にフレイル(心身の機能の低下)となって、多くの病気につながることがわかっています。寝たきり、要介護の人の多くは総入れ歯です。

もう二度と同じ思いをしたくない、もう1本も歯を失いたくないというあなたへ。

1本でも歯を失ったら、歯を失うリスクは今後ますます高まります。

対策としていくつかあげましたが、歯周病やむし歯の検査をしっかりとしてもらい、なによりも最後まできっちりと治療を終えることです。

また、これから歯周病が始まる、もしくはすでに歯周病が始まっていて進行する可能性は誰にもあります。今後歯周病はますます注目を浴びるようになりますので、きちんと歯周病の治療ができるクリニックへ行くのがオススメです。

そして生涯通うことのできる、信頼できるかかりつけのクリニックを見つけることで、歯に対して思い悩むことがなくなります。

今日が人生で一番若い日です。
治療は大変かもしれませんが、今はじめるのと10年後にはじめるのとでは、治療の大変さが何十倍にもなるということを知っておいてください。すぐにでも行動されることをオススメいたします。

  1. むし歯のプロセス
  2. 歯周病の原因と治療法
  3. かかりつけのクリニックを見つけよう
  4. 自分しか守れない未来
  5. かかりつけのクリニックを見つけよう
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